Teppei's Diaryを簡単にご紹介

研究に関係のありそうなことを淡々とまとめています

Recording of elapsed time and temporal information about biological events using Cas9

面白い論文です。時間を測ることができるDNA設計です。

 

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)00014-3

 

論文の概要
1. CRISPR-Cas9は細胞内の無傷の標的周波数を時間の経過とともに指数関数的に減衰させる
2. 経過時間は、観測されたインタクトなターゲット周波数から推定することができる
3. 複数のターゲットシーケンスを使用して、幅広い時間帯の記録が可能。生物学的事象の後の推定時間も記録することができる

 

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論文の説明
DNAはこれまで、生物学的情報の記録や数学的問題の計算に利用されてきたが、時間的な情報の記録には利用されてこなかった。

 

ここで彼らは、典型的な動的な生体反応とは対照的に、Cas9とガイドRNAによるインデル生成が定常的な速度で起こり、蓄積されたインデル頻度が時間の関数となりうることを発見しました。

 

インデル頻度を測定することにより、哺乳類細胞において数時間から数週間の絶対的な時間的期間を記録し、測定する方法を開発したそうです。

 

これらの時間記録は、Cas9の異なるプロモーターと送達ベクターを用いて、いくつかの細胞型で、培養細胞と生きたマウスの細胞の両方で実施した。応用として、化学物質への曝露時間と生物学的事象(熱曝露や炎症など)の発生からの経過時間の長さを記録したとのことです。